2009年11月13日
海象・気象余話
「海象・気象余話」
“釣り日和”
「今日は、釣り日和だ」とか「旅行日和」など、我々は日常的に“日和”という言葉をよく使う。“日和”は“日寄”で、日(太陽が出ることは、晴天に通じる)の方に寄るという意味から生まれた。日和は、おだやかに晴れた空、好天を意味する。また、空模様・天候の具合という意味で使うことがある。天気の諺で「朝焼けは雨、夕焼けは日和」というのは「朝焼けした日は雨が降り、夕焼けになれば翌日は晴れる」という意味である。天気が良いということから“釣り日和”“旅行日和”などの語も派生したのである。
そのほか、事の成り行きや雲行きなどを表す使い方がある。「待てば海路(かいろ)の日和あり」というのは、舟の長旅で天候をうかがい、日和を見ることから転じて、時期を待つ意味となり、石の上にも3年と同じ意味である。それが更に転じて、事の成り行きをうかがいみる意味で「日和見」という言葉が生まれた。日和見は態度をはっきり決めないことをいうが、「日和見主義」というと、自分の都合の良いほうにつこうとして、形勢を伺い二股をかけている態度をいう。
ところで、小春日和を春と思っている人が多いようである。小春は陰暦10月をさし、立冬を過ぎてから続く春のように晴れた暖かい陽気のことをいう。
“海と暦”
『去年、大物をたくさん釣った所へ、今年も「同じ日」に釣りに行けば、大物が釣れる確率は非常に高いはず。そこで、暦を見て「同じ日」同じ場所に釣りに行ったが、全く釣れなかった』こういう話を時々聞きます。しかし、この話には、根本的な誤りがあるのです。
潮汐(ちょうせき)が、主に月の引力によって起こっていることも含め“海の中は、太陽暦(新暦)ではなく、太陰暦(旧暦)で動いている”ことを思い出して下さい。例えば、「その日」がたまたま、6月21日だったとします。去年の潮見表で見ると、6月21日(土)は、旧暦の5月18日です。今度は今年の潮見表で、旧暦の5月18日を見ると、6月10日(水)になっています。つまり去年と「同じ日」というのは、今年は6月10日ということになります。魚釣りは、旧暦をもとに動いています。あなたの釣り日誌には、旧暦・潮周り・潮時を書き込む欄はありますか?
“潮の話”
♦潮目(しおめ)
水温・流速などが異なる潮がぶつかった時、その境界にできるのが潮目で、極端なときには2m以上の段差ができ、白波の壁が延々と境界に沿って続くこともある。通常は、片方が濁りの強い潮で、一方が透明度の高い潮、或いは油を流したように静かな海面とサザ波が立つ海面だったりする。ここには流れ藻や流木、ゴミなどさまざまな漂流物が集まってくるので、それに集まる稚魚や幼生を追い、特に回遊魚の好ポイントとなる。
♦潮上(しおかみ)・潮下(しおした)
海の中には、風・水温など様々な理由によって潮の流れができるが、その潮が流れてくる上流の方を潮上、下流のほうを潮下という。
♦上げ潮(あげしお)・下げ潮(さげしお)
もっとも潮位が低くなる干潮から満潮に向かって、徐々に潮位が高くなる潮のことを上げ潮という。満ち潮も同じ意味。逆に、もっとも潮位が高い満潮(まんちょう)から干潮(かんちょう)に向かって流れる潮を下げ潮といい、こちらは引き潮と同じ
意味。下げ潮を落とし潮(おとしお)と呼ぶ所もある。
♦込み潮(こみしお)
沖合いから陸地に向かって流れる潮のことだが、本来は上げ潮によって陸地に向かう潮とは無関係で黒潮など外洋の潮、あるいは、冷水域による潮流の変化を受けてのことが多いようである。
♦出し潮(だしお)
陸側から沖合いに向けて流れる潮のことで、潮の満ち引きとは直接の関係はない。
♦真潮(ましお)
太平洋沿岸を南から北へ向かって流れる潮のことで、黒潮そのもののことではなく、それに伴って北上する沿岸流の一種。この潮が流れるときは水温が上がり、魚の食い立つことが多いが、春には急流となって大きな河川の河口付近で反転して、逆潮(さかしお)となることがある。
♦逆潮(さかしお)
太平洋岸で、沖合いが黒潮で南から北へ流れているのに、沿岸部には北から南へ逆方向に流れる潮がある。これが、逆潮で水温が下がるため平均して魚の食いは悪くなる。
♦上潮(うわしお)下潮(したしお)
海の表面を流れる潮が上潮で、底に近いところを流れるのを下潮という。上潮と下潮の流れの方向が違うと二枚潮になってしまう。漢字は一緒であるが、上げ潮・下げ潮とはまったく意味が違うので注意。なお、下潮は底潮とほとんど同じ意味である。
♦赤潮
水温が上昇する夏期、底層の溶存酸素が不足することによって、プランクトンなどが死に、海水が赤褐色に濁ること。潮通しの緩やかな湾奥部で起きることが多く、カレイやイシモチ・ハゼなど回遊力の小さな低層の魚にも悪影響があり、酸欠状態で浮上するものが増える。
♦青潮
夏期、特に7〜8月に起きる現象で、陸から海に向かって強い風が吹くことにより、溶存酸素の少ない低層の海水が上昇。含まれる硫黄分が酸化することにより、海面が青く見えることをいう。


