2009年07月06日

釣魚余話

 

 『釣魚 余話』

松岡 隆春


 

“魚の旬”

 

 

 “旬”とは、ある食材がもっとも新鮮で、もっとも美味しく食べられる時期のこと。旬の時期になると、その食材が多く魚屋さんの店頭に並ぶため、値段も比較的安くなります。

 「最近は、冷凍技術の発達や養殖技術の向上などで“魚の旬”が無くなってしまった」と嘆く人は多い。「一年中、食べたい魚が手に入るのは、便利で結構なことかもしれないが、季節(旬)を失うことは決して幸福なことではない」と私は思う。いまでは、新鮮で旬の魚を食べることができるのは我々釣り人と漁師さんだけかもしれない。“魚の旬”はその種類によって様々ですが、一般的に『産卵直前の時期』が“魚の旬”にあたります。改めて“魚の旬”を確認してみよう。

『春の旬魚』サワラ・サヨリ・トビウオ・アイナメ・マダイ・アナゴ・ニシンなど

『夏の旬魚』…アジ・カツオ・カンパチ・ヒラマサ・イシダイ・ハモ・キス・コチ・スズキ・イサキなど

『秋の旬魚』…サバ・サンマ・ハゼ・カマス・サケ・イワシ・ウナギなど

『冬の旬魚』…ヒラメ・ブリ・アンコウ・タラ・ボラ・キンメダイ・フグ・マグロなど

 なお“魚を食べるときの旬と、釣るときの旬は必ずしも一致しません”のでご注意下さい。





“夏のゴマサバ”

 

 

ゴマサバマサバ  我々の食卓に最も馴染みの深い魚はサバ(鯖)である。昔は安価な大衆魚の最先端をアジと分け合っていた。しかし、最近は個体数の減少により、大衆魚というよりは、むしろ高級魚の範疇に入っている。まだまだ我々の財布のキャパシティーの範囲内にあるが、これ以上高くならないよう望みたい。

 さて、サバにはマサバとゴマサバが居る。マサバは腹部にゴマ状の斑点がないが、ゴマサバには、小黒班が腹部に散在している。背中の模様は良く似ているが、腹部のゴマで両者をはっきりと区別できる。

 最近の釣況を見ていると、伊勢湾口でマサバがよく釣れているが、それに混じってゴマサバも相当上がっているようである。

 食べ味を比較すると、マサバの方に軍配が上がるが、(ゴマサバの産卵期が夏であることから)7〜8月に釣れる産卵前のゴマサバはマサバより美味いと言う釣り人が多い。調理法は、マサバと同様“締めサバ”や“煮物”などが良い。

 なお、ゴマサバは体脂肪が少ないので、食用としてよりは日本そばのダシ作りに欠かせないサバ節として加工される場合が多い。
(写真左 ゴマサバ・右 マサバ)



 

 

 

“シマイサキ”

 

 

シマイサキ メバル釣りなど岩礁地帯を釣っていると、イサキに似た口先の尖った20〜30cmほどの魚が釣れてくることがある。これがシマイサキである。シマイサキは、勿論名前通りイサキの仲間である。ちなみに、シマイサキはスズキ目シマイサキ科、イサキはスズキ目イサキ科である。しかし、あまりにも似ているため、小型のイサキとして片付けられてしまう。縦縞(たてしま)もあり、本当に紛らわしい。イサキとの大きな違いは、シマイサキはくびれた浮き袋を持ち、ニベ・グチと同様に敵が近づくと浮き袋を収縮させたり、膨らませたりしてグーグーと音を出すことである。(これは、仲間に危険を知らせる警戒音だといわれている)紀州方面では、“シマイサギ”と“キ”を濁って呼ぶが、こちらのほうが正しい呼び名だという説もある。

 イサキと同様に旬は5〜8月、特に真夏の暑い頃が美味。大型のものは、身が締まっているので刺身にすると非常に美味しいし、小型のものは塩焼き、煮付けにすると良い。

 

 

 

 

“青物・青魚・ブルーフィッシュ?”

サバ一荷 「青物」を辞書で引くと、「背が青っぽく、宙層を泳ぎ回る回遊性の高い魚の総称。アジやサバもこの名称の仲間だが、ヒラマサ・ブリ・カンパチ・カツオ・マグロなど大中型魚に当てて呼ぶ場合が多い。フィッシュイーター(小魚などを捕食する魚)が多く、盛期は初夏から秋。エサ、コマセ、生き餌釣り及びルアー釣りで狙うことが多い」とある。

 一方「青魚」という表現もあり「食用魚のうちイワシ類・サバ類・サンマなどの、いわゆる“背の青い魚”の総称である。“青背の魚”“青物”ともいう」と解説してある。

 また、英語にも似た意味を持つ「bluefish」という言葉があるが、日本では通常「青物」に含まないスケトウダラなども含む上、スズキ目ムツ科に属する特定な種の呼称として使われることも多いので注意を要する。

 名前の通り、背中が青または黒で腹側が白いものが多いが、これは表層近くを遊泳する魚種に多く見られる保護色の一種である。

共通点として、

1.筋肉は遊泳に適した赤身で、ヒスチジン(蛋白質を構成するアミノ酸の一つ)などが多く含まれ、鮮度の低下が早い

2.含まれる脂質はエイコサペンタエン酸などの不飽和脂肪酸の比率が高く、血中の悪玉コレステロールを減少させるなどの効果があるといわれている。

3.筋肉は、酸敗しやすく品質の劣化(いわゆる“油焼け”)を起こしやすい。

釣り人の特権、新鮮で栄養のある「青物」を食べて、健康で楽しい毎日を過ごそう。

 

 

 

 

 

“ギマ”

ギマ 梅雨入り前から、木曽川河口・三河湾・浜名湖方面の汽水域で、魚屋ではめったにお目にかかれない“ギマ”が釣れるようになる。形は、カワハギとサバフグを足して二で割ったような形で、学問的には「フグ目ギマ科」に分類されている。ちなみに、カワハギはフグ目カワハギ科、フグはフグ目フグ科であるから似ているのは当然かもしれない。

ヌルヌルした銀白色の魚体に黄色いラインは、一見毒魚のように思われがちであるが、食べてみると絶品。カワハギと同じく皮を剥いで調理するが、肝ごと甘辛く煮た煮付けはあっさりとした白身で身ばなれがよく、酒の肴にぴったしである。

当地区には、6〜8月に姿を見せるが、産卵期と重なるため釣れてくるのは、25〜30cmと良型ばかりである。群れで移動しているので大きな群れに当れば、短時間で束釣りが可能である。しかし、群れに遭遇できないと貧果に終わるので、それなりの覚悟が必要である。

仕掛けは、片テンのキス仕掛け、又は胴突き3本バリ仕掛け。ハリは、キスバリの7〜8号、エサは青イソメなどの虫類やエビ、アサリの剥き身。

アタリは、コンコンとサオ先を叩き、極めて明確。カワハギほどエサ取り上手ではない。巻き上げ時の引き込みも強く、釣趣満点。初心者にも簡単に数釣りができる。



 

 “イサキ(伊佐木・鶏魚)”

イサキ 晩春から初秋のイサキ! 釣り味・食べ味ともに最高!

 イサキは、初夏の釣りで最も人気のある魚。暖流に洗われる沿岸海域の岩場付近を群れをなして回遊し、冬には深場に移動する。地方によって色々な呼び名があるが、和歌山県では「カジヤゴロシ」という物騒な名前で呼ばれる。これは、昔、イサキの骨がのどに刺さって死んだ鍛冶屋(かじや)が居たことからつけられたという。それほど、イサキの骨は硬い。さて、名前の「伊佐木」は漢字を当てはめたものであろうが、「鶏魚」はイサキの背鰭の棘(とげ)の形が、鶏の鶏冠(とさか)に似ているところから、名づけられたと言われている。釣り味も良く、30cm以上のものになるとマダイの引き込みと遜色のない引き込みが味わえる。6〜7月のものは、「麦わらイサキ」といわれ、産卵前の晩春から夏にかけてのものが一番脂がのっていて美味く、この頃のイサキは「タイ」より美味いという釣り人も多い。濃厚な味の割りに“コレステロール”の含有量が少なく、“カロリー”も低いため、高齢者・病人用の食材として珍重される。食べ方は、20cm以上のものは刺身で、抱卵しているものはそのまま塩焼きにしても、独特の脂の味で美味しい。

 




  “タコとイカの頭はどこ?”


イカ 
 よく、タコが鉢巻き(はちまき)をして踊っている絵にお目にかかります。鉢巻は頭に巻くものですから、あの丸くなった部分が頭だと思われがちですが、実はそうではなく、あの丸いところには内臓が入っている“胴”の部分なのです。そういった意味では鉢巻ではなく細い腹巻き(はらまき)か、ベルトといったほうが正しいのです。もう一つ間違えやすいのは「タコの足は何本か?」といった質問にもよく出くわしますので、その反対側にある丸い部分は当然頭と思ってしまうのも仕方ないのかもしれません。足と思われやすい吸盤のついた部分は,“腕(うで)”と言ったほうが良いのです。イカもまったく同じです。あの尖った三角部分は頭ではなく胴であり、10本の足ではなく腕ということになります。生物学的にも、タコは「頭足類八腕目」で、イカは「頭足類十腕目」に分類されております。それでは、頭はどこにあるかといいますと、共に腕の付け根の奥まったところにあり、そこには目や口もついています。つまり、頭からすぐ腕が出ているというたしかに妙な格好をしていることは事実です。そして、泳ぐときにはあの沢山の腕を動かすのではなく、体を伸縮させて、お腹についている漏斗(じょうご)状の管から水を勢いよく吐き出すことによって泳いでいるのです。此の管の向きを変えることによって、前後左右どちらへでも自由に泳げるようになっているのです。それにしても、タコもイカも間違えやすい体形をしているものです。
                    



funaduri at 15:20コメント(0)釣魚余話   この記事をクリップ!

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